柔道とか他のスポーツでよく用いられる言葉ですが、競泳でも大切なことです。
心 精神面のことですが、いくら泳ぎの技術がすごくても、やる気がなければベストは出ません
技 いくらやる気があっても、泳ぎ方を知らなければ、ベストは出ません
体 やる気があって、技術にすぐれていても、ポテトチップばかり食べて、練習やらないでいて、体ができてなければベストはでません。
これら、3つのうち1つ欠けても、よい記録には結びつかないのです。
学科のページは、これら3つを1つずつ取り上げて、勉強していきましょう。
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心
やる気だけで、1秒は違います。もちろん空回りのやる気だけではいけませんが
大会などで、やる気があるかどうか、また本番に強いかどうかは、記録に大きく影響します。
ですから、精神面でのトレーニング (メンタルトレーニング) は、必要不可欠なものとなっています。
しかし、スイミングにおいて、メンタルトレーニグしているところは、案外少ないと思われます。(有名なところは当然していますが・・・)
いろいろなメンタルトレーニグがありますが、そのうち、水泳に適していると思われるものをご紹介したいと思います。
メンタルトレーニグの必要なわけ
人間の体の筋肉は、トレーニングにより、強く激しい運動もできるようになってきます。
しかし、大会本番で、全力を出したといっても、実は筋肉の能力の30~50%しか、出せていないのです。
逆に言うと、筋肉の能力の半分は眠ったままなのです。
よく火事場のバカ力という言葉がありますが、究極の場面においては、人間は驚くほどの力を出すとこができます。
つまり、大会などで、0.1秒をあらそう場面、もし50%しか出せないところに、60%の力を出すことができれば、
今までよりも、かなり速く泳ぐことができます。
その潜在的な能力をいかに引き出すかということが、通常の練習をさらに増やすよりも、価値のあるもので、またタイムを伸ばす点で
メンタルな面の強化は、大切だといえます。
よく、リレーでは、自己ベストがでやすいですね。うしろにチームみんなが控えてるために、一人で泳ぐよりも、多くの力を出すことが
できるんです。これは、一人だと50%の力だったのに、みんながいるというだけで、潜在能力がつかわれるために速く泳げれます。
ですから、1人のレースにおいても、メンタルとレーニングをすることにより、さらに潜在能力を出せれるようにすることもできますので
ぜひ、これから、紹介するメンタルトレーニングを、少しずつとりいれてみましょう。
① 自信の根拠となるものを、目で見れるようにする
自信があるということは、レースに臨むときに、過度の不安や緊張をやわらげ、自分の力を出しやすい精神状態を作ります。
でも、自信というのは、なかなかレース本番になると、なくなってしまうものです。
自信がなくなると、不安が増大し、自分の力を出し切ることができくなくなってしまいます。
こういう時に、もし自信となる理由を、目で見れる形にして、持っていると、それをレース前にみて、自信を復活させることができます。
そのために、目に見えるものを作ることが大切です。
何を作るか <練習日誌>
自信があるということは、どういうことでしょうか? それはなんと言っても練習量と言えるでしょう。
たくさん練習したということは、本人にとって、一番の自信となります。
では、昨年、自分が練習で何メートル泳いだか知っていますか? また何時間練習したか知っているでしょうか
案外、何日練習にでたかということも、選手たちは知らないものです。
毎日の練習をこなすということに精一杯というのが、現状でしょう。
でも、レースの時に、例えば、「自分は、今月は、44時間、6万6千m泳いだ」(小学生) と分かれば、それだけで力が沸いてきます。
また去年は、「528時間、79万2000メートル」泳いだ、792キロ泳いだ、東京から高知まで泳いだ・・・ということを知るというだけで
練習量に裏づけされた自信がもてるわけです。
それでお勧めしたいのが、練習日記です。
よく練習内容とか、メニューとか書いている人もいますが、それはそれでとてもいいことで、将来、コーチになったり、自分の泳ぎを
分析できるようになったときに、練習日記などみて、どの練習が不足しているかとか、なにが過度の練習になって故障の原因になったか
など知ることができますが、でも、だいたい、あまりメニューは、読みかえしたりしないものです。またそういう練習日誌は長続きしません
それよりも、今日、何時間何分、何メートル泳いだかというのを、ぜひ練習日誌に書いてください。
それだけ書くだけでいいです。これなら長続きするでしょう。また表にするなら、それが伸びていくのはうれしいものです。
小学生低学年なら、シールとかはってもいいでしょう。(べつに大学生がシールはっていてもいいですが・・・)
泳いだ距離を知るというのが、なかなか難しい場合もあるかもしれません。練習しているうちに、何メートル泳いだか分からなくなって
しまうことも、多々あることです。そういう時は、コーチはメニューですでに計算してありますから、直接、聞けばいいでしょう。
でも、自分が何メートル泳いでいるかというのを意識するのは、練習効果をあげる面でも大切なものですから、できるだけ自分で
今、何メートル泳いでいるのか、考えながら、計算しながら練習できるといいでしょう。まあ、それで多少100m前後の間違えたとしたっても
とくに気にしなくてもいいでしょう。もちろん自分の表なんで、ズルして距離大目に書いても、誰に怒られるわけでもないし
そうやって、ずるして水増しした表みても、なんの効果もなくなるわけで、それこそ無意味なことですから、できるだけ正直に書きましょう
どんな表がいいか
自分で作るのがいいですが、工夫して、面白みのあるものを作るといいですね。
例えば、ひとマスで1000メートル泳いだ表など作って、ここまで来たら、家からどこまで泳いだとか書くと面白いかもしれません。
こうやって、練習するたびに表に書き込んでおけば、試合の当日など、弱気になったときに、この表をみて
「自分は、これだけのことをしてきたんだから、〇〇キロ泳いできたんだから、いい記録が出るぞー!!」と、自信につながるんです。
頭の中で、自分は練習してきたと思うよりも、実際に、自分の泳いだ正確な距離など、表で見ることのほうが、はるかにメンタル的に
プラスにつながるわけです。
このような、練習日記をつけることをぜひお勧めします。
② 条件反射的 準備法
「パブロフの犬」というのを知っていますか? パブロフという人が、自分の犬に餌を与える時に、ベルを鳴らしてからあげていたところ
ご飯の時でなくても、ベルを鳴らすと、犬は、よだれを出したというものです。
ベストの泳ぎをする、潜在能力を引き出すには、ただ頑張ろうという意思だけでは、なかなか出せるものではありません。
しかし、この「パブロフの犬」にもあるように、Aという行動をとろうとする時に、Bという行動をしてからしていると
Bという行動をすると、自然と、体がAという行動をとる準備をします。
これを心理学的に利用し、これからベストの泳ぎをするぞという時に、他の行動をしてからすることにより、体がベストを出すという
体の準備を潜在的にさせるわけです。
よくテニスプレーヤーが、サーブを打つ前に、床に、カッコつけて、ボールをラケットで跳ねさせていますね。
あれは、ただカッコいいからというだけでなく、これからベストショットのサーブを打つ前の、予備動作なんですね。
つまり、いつもサーブ打つ前に、ある動作をするということが、心理面にも影響を受け、いいショットがうてれるわけです。
どのような予備行動がいいか
このような条件反射を呼ぶような動作を、条件付けとも言いますが、必ずしも、水泳と関係ある動作でなくてもいいわけです。
例えば、「から咳を3回してから泳ぐ」とか、「飛び込む前に、屈伸を必ずする」とか、「大声をあげてから泳ぐ」とか
自分のクセみたいに、ある行動をしてから、泳ぐようにすれば、どんな行動でもいいわけです。
でも、いきなり試合でやってはダメです。はじめてする行動では、体が反応しないからです。こういう条件付けする動作(予備動作)は
ふだんの練習からやらないといけません。 もちろん、ダラダラ泳ぐ前とか、流してするインターバルなどで、するのでなく
ダッシュとか、全力を出す前にかぎって、予備行動をするといいでしょう。
何度もしているうちに、ダッシュするぞという命令が脳に、この予備行動でいきやすいようになるからです。
③ どんな時もポジティブ精神
メンタルトレーニングではありませんが、練習や、試合での心がけとして、大切なのは、ポジティブ精神です。
つまり、いつも前向きの姿勢をするということです。
泳ぐ前から、飛び込んで、腹打ちしたらどうしよう、水飲んだらどうしよう、腕が回らなくなったらどうしよう と
マイナスのことばかり考えて、練習や試合をしても、いい結果を出すことはできません。
マイナスの考えは、筋肉を萎縮し、本来、自分の力を発揮できなくなります。
一方、プラスの考えは、仮に自分の力が、10だとしても、12くらいの力を出すことを可能にします。
本人の性格にもよるかと思いますが、いつもプラス思考にするには、努力が必要です。
よく自分には運がない。ということを言う人がいますね。わたしもそうでした。
でも、運がないことを嘆いている人より、自分は運があると勘違いしている人のほうが、自分の力を出すことが出来るのです。
ですから、自分は運がないとか、速く泳ぐことができないとか、そういう風に考えるのは、きょうかぎりでやめましょうね
でも、どーしても、マイナスのことばかり考えてしまう人は、次のことをやってみましょう。
④ 不安要素を書き出す
マイナスのことばかり考えてしまう人は、そのマイナスのことを書き出してみましょう。
案外、書いてみると、自分が不安に思っていることは、たいしたことではない場合が多いです。
また、その不安要素の後ろに、解決策をかいておくといいかもしれません。
不安要素は、頭の中で考えているものだと、どんどん膨らんで、たいした事でないのに、すごく重大なことのように思えてしまうからです
紙に書き出すと、具体的に、目で見て、それを確認できるので、自分が不安に思っていることは、たったこれだけなのかと安心して
練習や、試合に取り組むことができます。
また、この不安要素を書き出すのは、水泳だけのものではありません。学校でのこと、勉強のこと、友達のこと、恋愛のことなど
そういう水泳以外の不安要素も、練習にさしつかえるからです。できるだけ正直に書くことにより、自分の頭の中を整理できます。
まあ、片思いの解決策は、なかなか思い浮かばないですから、そのへんは、適当に空欄でもかまいません(笑)
ということで、まずは、一番大切な心をしっかりと保つように、努力しましょう。
心がしっかりしないと、がんばって練習しても、なんにも意味がなくなりますからね。
でも、心が一番むずかしいところですので、自分の力を100%出せれるように、いろいろ工夫しましょうね